シクロデキストリン(CyD)の役割第5弾!
「水難溶性物質の可溶化や結晶析出の抑制」
柑橘類にはナリンギンやリモニンなどの苦味物質が含まれています。これらは柑橘缶詰やジュースの味を決める重要な成分であるが、結晶性が高く、製品中で結晶化して「白ボケ」とうい現象を生じる場合があります。一般的の消費者は「白ボケ」を異物混入あるいはカビが発生していると誤認してしまう場合などがあります。
また、紅茶に含まれるタンニン類は酸性低温条件下で結晶化して白濁するミルクダウンもしくはクリームダウンと呼ばれる現象が起きることが知られています。一般に、レモンティーのpHは4以下の弱酸性であり、夏季には冷却されて飲用される場合が多く、飲料の容器もPETボトルへのシフトもあり、商品の見た目を損なうことからミルクダウンは解決するべき問題であると考えられます。
今回は柑橘の成分であるナリンギンがCyDを添加することで溶解度を上昇させ水難溶性物質の可溶化及びタンニン類の結晶化抑制効果について紹介いたします。
α-CyD、β-CyD、γ-CyDによる可溶化試験に関しまして(グラフ1)
ナリンギンはβ-CyDあるいはγ-CyDと包接することにより水に対する溶解度が上昇した。
CyDによる紅茶のミルクダウン防止効果に関しまして(グラフ2)
検討は茶葉重量に対して180倍量の水を加え、90~95℃で10分間抽出した後、茶葉をろ別して得た抽出液のpHをクエン酸でpH3.5に調整し、得られる紅茶液量に対して0.7%(w/v)の各CyDを添加し、8℃で保存して生成する沈殿(濁度)を720 nmで測定を行なった。
ミルクダウン現象は、紅茶中に少量のβ-CyDを添加することで大幅に改善された。
参考資料:ナノマテリアルシクロデキストリン
ミルクダウン現象は、紅茶中に砂糖などの糖質の添加量を増やすことである程度は改善できることは知られていたが、近年の消費者の糖質離れから甘味料以外のミルクダウン防止方法が開発されたことは非常に有意義なことであると考えられます。
この技術はレモンティーだけでなく紅茶ベースの果汁飲料や紅茶風味のアルコール飲料などにも応用されています。
水に溶けにくいために食品などに加工しにくい成分や結晶析出してしまう成分などをお持ちの方は、下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!