コレステロールを下げる食材や生活習慣のポイントを徹底解説!
健康診断でコレステロールの値が悪いと、不安に感じる人も多いでしょう。この記事では、コレステロール値に不安を覚える人に向けて、悪玉コレステロールや善玉コレステロールの違いや、悪玉コレステロールの増加を防ぐ食材や生活習慣について解説します。コレステロール値が体に与える影響や働きを正しく知るための参考にしてください。
悪玉コレステロールとは
コレステロールは、血中に流れる脂質の1つで、細胞膜やホルモンの生成に必要な栄養素です。コレステロールには、悪玉コレステロールと善玉コレステロールがありますが、悪玉コレステロールは別名LDLコレステロール(低比重リポタンパク質)と呼ばれるものを指します。悪玉コレステロールには、体内にコレステロールを貯めこむ働きがあります。
悪玉コレステロールは動脈硬化などの原因になる
悪玉コレステロールの増加により、血流が停滞して動脈硬化や心筋梗塞などの血管系の疾病リスクが上昇しかねません。血液中に悪玉コレステロールが多く流れていると、悪玉コレステロールの値が高くなります。血中に残ったコレステロールは細胞まで移動せずに、血液の壁に付着するため血流が悪くなってしまうのです。
善玉コレステロールとの違い
善玉コレステロールと悪玉コレステロールは、いずれもコレステロールですが役割が異なります。リボタンパク質に含まれるLDL(低比重リボタンパク質)が悪玉コレステロールと呼ばれます。HDL(高比重リボタンパク質)の別名が善玉コレステロールです。リボたんぱく質は、細胞に運ばれるコレステロールが血液と交わるときに必要となります。
不健康な生活が悪玉コレステロールの増加を招く
体内のコレステロールの量は、肝臓で生成される量や体から排出される量などのバランスにより、一定です。しかし、偏った食事や運動不足が続いたり、肥満傾向にあったりすると悪玉コレステロールの値が増加するといわれています。ホルモンバランスの乱れや遺伝、体質により悪玉コレステロールが増加する場合もあるでしょう。
コレステロールが高い女性は10年で増加
2010年から2019年の10年間に、総コレステロール値が220mg/dL以上の高コレステロール状態にある女性の割合は、16.0%から22.4%に増加しました。高コレステロールにより糖尿病の疑いがある人の割合も年齢とともに増加が見られます。男性の場合、60歳を過ぎると4人に1人に糖尿病の疑いが見られました。女性の場合は70歳以上になると5人に1人の割合で糖尿病の疑いがもたれています。
悪玉コレステロールを下げるための生活習慣
さまざまな疾病を予防するためにも、悪玉コレステロールの値を下げる生活習慣が大切です。
食生活を見直す
コレステロールが体内で過剰に合成されるのを防ぐためには、日々の食事への注意が必要です。コレステロール値を上げる食品はできるだけ避けて、コレステロール値の改善につながる食品の積極的な摂取に努めましょう。コレステロール値を下げる食品については、後ほど詳しく解説します。
適度な運動をする
適度な運動習慣は、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールの増加に役立ちます。悪玉コレステロールを下げるなら、軽度の負荷で続けられる有酸素運動がおすすめです。ウォーキングのように、軽い負荷で続けられる運動を週に3回ほど、1回20〜30分を目安に行いましょう。
タバコを控える
タバコに含まれる一酸化炭素とニコチンには、悪玉コレステロールの量を増加させる作用があります。特にニコチンには、悪玉コレステロールを増加させるだけでなく、善玉コレステロールを下げる働きがあるのが特徴です。悪玉コレステロールの増加と血圧の向上により動脈硬化を引き起こす危険性があるため、禁煙を進めましょう。
ストレスを溜めすぎない
ストレスを感じると活性酸素や血管や血液にダメージを与え、コレステロールや血糖値を上昇させるホルモンが分泌されます。コレステロールを下げるには、ストレスを溜め過ぎない生活を心がけましょう。活性酸素により酸化した悪玉コレステロールが血圧壁に潜るため、血圧が上がり動脈硬化を引き起こします。
悪玉コレステロールを下げる食生活のポイント
乱れた食生活は悪玉コレステロールが増加する要因の1つです。食生活においてどのような点に気を付ければよいのか、以下で解説します。
カロリーを適切に摂取する
肥満傾向にある人は、悪玉コレステロールの値を下げるためにも、適正体重を目指しましょう。体重は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ると増加するため、適正体重にするためには摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要です。脂質や糖質は大事な栄養素ですが、摂りすぎるとカロリーの摂取過多につながるため、注意しましょう。
お肉の選び方を変える
脂質の代表的な成分である脂肪酸のうち、悪玉コレステロールを増加させる飽和脂肪酸は、お肉の脂身に多く含まれます。お肉を食べる際は、バラ肉やサーロイン、肩ロースなど脂肪分が多い部位を避けて鶏ささみやむね肉などを選びましょう。お肉の脂身を取り除いても飽和脂肪酸の量が減らせます。
トランス脂肪酸の摂取を控える
不飽和脂肪酸の1つであるトランス脂肪酸を摂りすぎると悪玉コレステロールの増加につながります。不飽和脂肪酸も飽和脂肪酸も摂取しすぎると善玉コレステロールの量が減り、悪玉コレステロールの量が増加するとわかっていますが、その比率は不飽和脂肪酸のほうが高めです。
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングに含まれるため、菓子パンやお菓子などの食べすぎには気を付けましょう。
コレステロールの多い食材を控える
悪玉コレステロールの増加は、飽和脂肪酸によるものが大きいものの、食事に含まれるコレステロールの量も、少なからず血中コレステロールに影響を与えます。コレステロールの含有量が多い食材の摂取は控えましょう。コレステロールが多い食材の例として、鳥卵やいくらや数の子などの魚卵、レバー、モツ、砂肝やあん肝などの肝類が該当します。
食物繊維を多く取る
食物繊維には、悪玉コレステロールの量を減らす働きがあります。食物繊維には、水溶性と不溶性のものがありますが、水溶性の食物繊維は、コレステロールを吸着して体外に排出させる働きがあるため、積極的に摂取しましょう。水溶性の食物繊維は、納豆やインゲンなどの豆類、カボチャやゴボウなどの根菜類のほか、海藻や玄米などに多く含まれています。
コレステロールを下げる食材
コレステロールの量を下げるには、食事内容の見直しが大切です。コレステロールを下げる働きをもつ食材について解説します。
大豆製品
大豆製品に含まれるタンパク質は、コレステロールを下げる効果がある栄養素です。胆汁酸は、血中にあるコレステロールを取り込んで作られますが、腸管で大豆たんぱく質と結合すると血管内に排出されてしまいます。血液から肝臓にコレステロールを取り込む必要があるため、血中のコレステロールが下がります。
青魚
アジやサバ、イワシなどの青魚に含まれるEPAやDHAには血液中のコレステロールを下げる働きがあります。とくに、青魚の頭部や目の後ろに多く含まれる成分で、不飽和脂肪酸の1種です。EPAやDHAには中性脂肪を減らして血液をサラサラにする効果もあるため、1日に1切れを目安に青魚を摂取しましょう。
トマト
コレステロールの値を下げたいなら、トマトの摂取も効果的です。トマトに含まれる栄養素の1つであるリコピンを継続して摂取すれば、善玉コレステロールが増加すると分かっています。また、トマトに含まれるアミノ酸の1つであるGABA(ギャバ)には、血液を下げる効果があるとの報告があります。
松樹皮
松樹皮に含まれるプロシアニジンは定期的に摂取すれば、総コレステロールと悪玉コレステロールを減らす効果が期待できます。プロシアニジンは、松樹皮のほか、リンゴにも多く含まれる栄養素です。ポリフェノールの1種で、カテキンが2つ結合した構造体をしています。ビタミンCの数百倍の抗酸化作用があるといわれ、食物や化粧品に活用されています。
大麦
古来、作物として栽培されてきた大麦も、コレステロールを下げる効果があります。大麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンによって、コレステロールを取り込んで作られる胆汁酸が排出されるため、血中内のコレステロールが下がります。大麦の中でも「胚乳」と呼ばれる細胞には、βーグルカンが豊富です。
シクロデキストリン(ジャガイモやトウモロコシ由来)
悪玉コレステロールの量が増えると、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まります。コレステロールを下げるには、適度な運動を行い、青魚やトマトなどの食材を積極的に摂取しましょう。また、日々の生活に簡単に取り入れられやすいものとして、ジャガイモやトウモロコシ由来のデンプンから作られるシクロデキストリンも、コレステロールの低減効果があります。シクロデキストリンは体内に接種した油や脂肪をキャッチすることができ、体内へ吸収されずに体外へそのまま排出することが可能です。これにより、コレステロールや中性脂肪を減少させるなど様々な健康効果がわかってきています。普段の食事の味を変化させずに取り入れることができるシクロデキストリンから始めても良いのかもしれません。