体重とコレステロールを減らす、シクロデキストリンの効果を健常な人で検証
とうもろこしなどの食材から作られる環状オリゴ糖であるシクロデキストリンは、脂質と安定した複合体を形成されることが示されており、血糖値の上昇や血液中のコレステロール値を下げる効果が知られています。今回は、このような効果を健常な人に対して調べた研究を紹介します。実際に、普通の食事に加えてシクロデキストリンを摂取することで、体重や血中成分に変化があるのかを調べました。
本研究のポイント
シクロデキストリンを摂取することで
・体重が有意に減少しました
・コレステロール値が有意に減少しました
・インスリン感受性が増加する可能性が見出されました
実験方法
18歳〜65歳の健常なな男女41人に、30日間、通常の食事に加えてシクロデキストリン錠剤を2粒ずつ、1日合計6錠を摂取してもらいました。また、比較として、効果がないとされるセルロース錠剤を2粒ずつ、1日合計6錠を30日間摂取してもらいました。そして、体と血液の状態を、デキストリン摂取時とセルロース摂取時で比較を行いました。
実験結果と考察
1|シクロデキストリンを摂取することで、体重の減少とコレステロール値の減少が見られた
シクロデキストリンを摂取することで、体重とコレステロール値が有意に減少することが示されました。ここでは、悪玉コレステロールとして知られるLDL-Cが減少していました。特に、コレステロール値が元々高い人(トリグリセリドが多い人)は、大きく減少する傾向にありました。さらに、コレステロール値が元々高い人と低い人で分けて解析を行うと、元々高かった人のコレステロール値は減少していましたが、低い人では変化がありませんでした。
デキストリン摂取時 | セルロース摂取時 | P | |
体重 (kg) | 75.48 ± 1.58 | 75.93 ± 1.61 | <0.05 |
コレステロール (mmol/L) | 5.10 ± 0.15 | 5.38 ± 0.18 | <0.05 |
2|シクロデキストリンを摂取することで、インスリンの感受性が増加する可能性が示された
シクロデキストリンを摂取しても、血糖値に変化がありませんでした。しかし、インスリンの量は減少している傾向が見られました。これは、インスリンの感受性が上がり、少量のインスリンでも、細胞に十分働くようになった結果だと考えられています。
デキストリン摂取時 | セルロース摂取時 | P | |
血糖値 (mmol/L) | 5.06 ± 0.05 | 5.00 ± 0.05 | ns |
インスリン (pmol/L) | 1.57 ± 0.12 | 1.73 ± 0.15 | =0.06 |
まとめ
今回の研究では、普段の食事やライフスタイルを変えることなくシクロデキストリンを摂取することで、体重の減少、コレステロール値の減少、インスリン感受性の増加が起こることがわかりました。肥満や心血管に対するリスクを減少させる、シクロデキストリンを用いた食品やサプリメントを開発できる可能性が示されました。
出典:Kevin B Comerford., et al. The Beneficial Effects α-Cyclodextrin on Blood Lipids and Weight Loss in Healthy Humans. Obesity. 2011 Jun;19(6):1200-4.