近年、シクロデキストリン自体が、がん、アミロイドーシス、ライソソーム病などの治療薬として有用である知見が見出され、世界中で活発に研究が行われている。その主役はヒドロキシプロピル–β–シクロデキストリンであることが多かったが、最近 Meenakshi らは、そのライバルともいえるスルフォブチル–β–シクロデキストリンが、アミロイド線維形成阻害効果を示し、アミロイドーシスの治療薬として有用である可能性を見出した。スルフォブチル–β–シクロデキストリンは、モデルタンパク質として用いたインスリンやリゾチームの β–シート形成を抑制し、アミロイド線維形成を阻害した。さらに、既に形成されたアミロイド線維を溶解することも可能であった。このように、スルフォブチル–β–シクロデキストリンは、新たな医薬品候補化合物になり得る可能性が示唆された。
参考論文
Sulfobutylether-β-Cyclodextrin for Inhibition and Rupture of Amyloid Fibrils.
Meenakshi N. Shinde et al.
Radiation and Photochemistry Division, Bhabha Atomic Research Centre, India
J. Phys. Chem. C, 121, 20057-20065 (2017).
Current Impact Factor of 4.536 (2017 Journal Citation Reports)