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次世代のチオール化シクロデキストリンの粘膜付着型賦形剤応用

2018.8.28

チオール化シクロデキストリンは、ドラッグデリバリーシステムの分野において、粘膜付着型賦形剤として使用されている。筆者らは以前、ブロモ化を介してチオ尿素と反応させることで、シクロデキストリンのグルコースを開環することなくチオールを導入する方法を報告した。本研究では、同様の方法で合成したチオール化シクロデキストリンに加え、チオール基にメルカプトニコチン酸をジスルフィド結合により導入することでチオール基を保護したシクロデキストリン(チオール基保護シクロデキストリン)を合成した。チオール化シクロデキストリンおよびチオール基保護シクロデキストリンは、シクロデキストリン単独と比較して、粘膜付着性がそれぞれ、44.4倍および50.9倍に増大した。さらに細胞障害性を観察されず、アミラーゼ処理によるシクロデキストリンの分解も起こらなかった。以上のことから、チオール化シクロデキストリンおよびチオール基保護シクロデキストリンは、新規粘膜付着型賦形剤として応用が期待される。

 

参考文献

S-protected thiolated cyclodextrins as mucoadhesive oligomers for drug delivery

H. M. Asim et al

Center for Chemistry and Biomedicine, Department of Pharmaceutical Technology, Institute of Pharmacy, University of Innsbruck, Innrain 80/82, 6020 Innsbruck, Austria

J. Colloid. Interface Sci. 531, 261-268 (2018)

Current Impact Factor of 5.091 (2017 Journal Citation Reports)