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スカスカのポリロタキサンを合成可能な目から鱗な方法

2018.7.6

近年、ポリロタキサンを架橋した環動ゲルの応用研究が活発に行われている。その際、架橋点の可動距離を担保するため、シクロデキストリンが”スカスカ”に詰まったポリロタキサンが必要となる。しかし、ポリロタキサン中のシクロデキストリンの被覆率を制御することは、至難の業である。これに対して Kobayashi らは、”スカスカ”なポリロタキサンを容易に合成可能な目から鱗の方法を報告した。まず、軸分子に両末端がカルボキシル化されたポリエチレングリコール (PEG) を用いて、αシクロデキストリンのポリ擬ロタキサンを調製した。次に、両末端がアミノ化された PEG をポリ擬ロタキサンの両末端に導入し、軸分子を伸張させた。最後に、エンドキャップ反応を施し、ポリロタキサンを得た。すなわち、軸分子を伸張させる過程を加えることにより、低被覆率のポリロタキサンを得ることができた。本合成方法は、被覆率を非常に容易に制御可能であるため、環動ゲルの素材を開発する際に有用である。

 

参考論文

Control of the threading ratio of cyclic molecules in polyrotaxanes consisting of poly(ethylene glycol) and α-cyclodextrins.

Yuichiro Kobayashi et al.

Graduate School of Science, Osaka University, Japan

Chem. Commun., 54, 7066-7069 (2018).

Current Impact Factor of 6.319 (2017 Journal Citation Reports)