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がん治療のための超分子ポリマーを基盤としたナノメディシン

2018.6.19

近年、ドラッグデリバリーシステムの構築においてナノメディシンが盛んに研究されている。中でも合成ポリマーは、生分解性があることや生体適合性を有するため、頻繁に使用されている。一方、合成ポリマーは高分子量かつ安定なため、分解に数週間から数ヶ月間要する。したがって、様々な免疫システムに作用し、免疫毒性を誘発する可能性がある。この問題の解決のため、本研究では、シクロデキストリン(CD)とゲスト分子を利用した超分子技術によるナノメディシンを構築した。具体的なシステムは下図の通りである。

ブログ(JACS).pngCDとカンプトテシン(CPT)がジスルフィド結合を介して結合した分子(CD-SS-CPT)が分子間でロタキサン様構造を形成し、コア部分はCPTのπ-πスタッキングにより自己会合することで、ナノ粒子を形成した。また、CPT-PEG-RGDおよびCPT-PEG-NOTAを導入することで、直交的に会合させることが可能となり、さらに、ターゲティング能とイメージング能も有する。本ナノ粒子は、アクティブおよびパッシブターゲティングによりがん細胞に取り込まれ、グルタチオンによりジスルフィド結合が切断されることで、CPTを放出し、抗がん活性を示す。実際、乳がんの同所移植モデルマウスに対して、全身毒性や長期免疫毒性は観察されず、顕著な抗がん活性および抗転移効果を示した。以上のように、超分子技術を用いた本ナノ粒子は、がんセラノススティクスの新たな一歩となり得る。

 

参考文献

Supramolecular Polymer-Based Nanomedicine: High Therapeutic Performance and Negligible Long-Term Immunotoxicity

G. Yu et al.

Laboratory of Molecular Imaging and Nanomedicine, National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering, National Institutes of Health, Bethesda, Maryland 20892, United States

J. Am. Chem. Soc., DOI:10.1021/jacs.8b04400 (2018)

Current Impact Factor of 13.858 (2017 Journal Citation Reports)

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