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メチル-β-シクロデキストリンはAMPKの活性化を介してNPC細胞におけるオートファジーの一連の流れを回復させる

2018.5.21

2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)は、Niemann-Pick病C型(NPC)細胞のリソソーム中のコレステロールの蓄積を減少させることから、現在、米国において、臨床試験が実施されている。しかしながら、NPC細胞において、HPβCDがどのような機構でコレステロール蓄積を減少させるかは明らかでなく、その分子標的も不明である。著者らは、コレステロールとの相互作用が強いため、脂質ラフト阻害剤として汎用されている親水性シクロデキストリン誘導体であるメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)が、Niemann-Pick病C1型(NPC1)細胞のマクロオートファジー/オートファジーフラックスの障害を回復させることを見出した。この作用は、MβCDがオートファジー経路における上流キナーゼであるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のβ-サブユニットへ結合することで、AMPKを直接活性化することにより誘導されることが示された。AMPKβ1またはβ2サブユニットをコードするPRKAB1またはPRKAB2発現のノックダウンおよびAMPK阻害剤は、NPC1細胞におけるMβCDのコレステロール蓄積に対する減少効果を消失させた。これらの結果は、AMPKがMβCDの分子標的であり、その活性化がオートファジーの一連の流れを増強し、それによってNPC1細胞におけるコレステロール蓄積を減少させること、また、AMPKがNPC治療薬の開発において魅力的な標的であることを示すものである。

参考論文

Methyl-β-cyclodextrin restores impaired autophagy flux in Niemann-Pick C1-deficient cells through activation of AMPK

Dai S et al.

National Center for Advancing Translational Sciences (NCATS), NIH , Bethesda , MD , USA.

Sir Run Run Shaw Hospital , Zhejiang University School of Medicine , Hangzhou , China.

Autophagy. 13(8):1435-1451 (2017).

Current Impact Factor of 8.593 (2017 Journal Citation Reports)