ニガウリの抽出物であるトリペルテン配糖体であるモモルジコシドKおよびLは、栄養価が高いことや抗糖尿病活性を有することが知られている。一方、モモルジコシドKおよびLは苦みが強いため、ニガウリの人気は低い。
そこで、ニガウリジュースにβ-シクロデキストリン(β-CyD)を添加し、18歳から40歳男女を対象に官能試験を実施した。香りおよび味において、ニガウリジュース単独(β-CyD添加無し)と比較して、2%β-CyD含有ニガウリジュースのスコアがそれぞれ6.8から7.5および4.7から7.7に上昇した。
また、2%β-CyD含有ニガウリジュースは、ニガウリジュース単独(β-CyD添加無し)と比較して、α-アミラーゼ阻害活性およびα-グルコシダーゼ阻害活性を有為に減少させた。したがって、2%β-CyD含有ニガウリジュースは、抗糖尿病効果を有する可能性が示された。これは、β-CyDの包接効果による、モモルジコシド類のバイオアベイラビリティの向上およびβ-CyD自体のα-アミラーゼの阻害効果が寄与したことが考えられる。
以上のように、β-シクロデキストリンとニガウリジュースを混合することでニガウリの苦みを軽減し、本混合体は抗糖尿病効果を有する可能性が示された。
参考論文
Debittering of bitter gourd juice using β-cyclodextrin: Mechanism and effect on antidiabetic potential
S. Deshaware1, S. Gupta2, R. S. Singhal1, M. Joshi3, P. S. Variyar2
a Department of Food Engineering and Technology, Institute of Chemical Technology, Mumbai 400019, India
b Food Technology Division, Bhabha Atomic Research Centre, Mumbai 400085, India
c National Facility for High-field NMR, Tata Institute of Fundamental Research, Mumbai 400005, India
Food Chem., 262, (2018), (78-85).
Current Impact Factor of 4.529 (2017 Journal Citation Reports)