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β-シクロデキストリンとニガウリジュースを混合することでニガウリの苦みを軽減し、本混合体は抗糖尿病効果を有する可能性が示された。

2018.5.15

ニガウリの抽出物であるトリペルテン配糖体であるモモルジコシドKおよびLは、栄養価が高いことや抗糖尿病活性を有することが知られている。一方、モモルジコシドKおよびLは苦みが強いため、ニガウリの人気は低い。

そこで、ニガウリジュースにβ-シクロデキストリン(β-CyD)を添加し、18歳から40歳男女を対象に官能試験を実施した。香りおよび味において、ニガウリジュース単独(β-CyD添加無し)と比較して、2%β-CyD含有ニガウリジュースのスコアがそれぞれ6.8から7.5および4.7から7.7に上昇した。

また、2%β-CyD含有ニガウリジュースは、ニガウリジュース単独(β-CyD添加無し)と比較して、α-アミラーゼ阻害活性およびα-グルコシダーゼ阻害活性を有為に減少させた。したがって、2%β-CyD含有ニガウリジュースは、抗糖尿病効果を有する可能性が示された。これは、β-CyDの包接効果による、モモルジコシド類のバイオアベイラビリティの向上およびβ-CyD自体のα-アミラーゼの阻害効果が寄与したことが考えられる。

以上のように、β-シクロデキストリンとニガウリジュースを混合することでニガウリの苦みを軽減し、本混合体は抗糖尿病効果を有する可能性が示された。

参考論文

Debittering of bitter gourd juice using β-cyclodextrin: Mechanism and effect on antidiabetic potential

S. Deshaware1, S. Gupta2, R. S. Singhal1, M. Joshi3, P. S. Variyar2

a Department of Food Engineering and Technology, Institute of Chemical Technology, Mumbai 400019, India

b Food Technology Division, Bhabha Atomic Research Centre, Mumbai 400085, India

c National Facility for High-field NMR, Tata Institute of Fundamental Research, Mumbai 400005, India

Food Chem., 262, (2018), (78-85).

Current Impact Factor of 4.529 (2017 Journal Citation Reports)

α-シクロデキストリンを摂取すると腸内細菌叢の環境を変えて、アテローム性動脈硬化症を軽減する。

2018.5.14

α-シクロデキストリン(α-CD)は、動物およびヒトにおいて血漿コレステロールを低下させることが知られているが、アテローム性動脈硬化症に対するその効果は知られていない。

アポEノックアウトマウスに、低脂肪食(LFD; 5.2%脂肪、w / w)またはウエスタン高脂肪食に添加なし(WD)、1.5% α-CDを含有(21.2% 脂肪)(WDA); 1.5% β-CD(WDB)を含有、または1.5% オリゴフルクトース強化イヌリン(WDI)を含有餌を11週投与したところ、大動脈アテローム性動脈硬化症病変は、WD(添加剤なし)と比較してWDマウス(α-CD含有)の方が65%少なく(P <0.05)、LFDと同様であった。他のWD補給食(β-CDまたはオリゴフルクトース強化イヌリン)ではアテローム性動脈硬化症に対する効果は認められなかった。一方、16S rRNAのRNA-seq分析により、WDにα-CDを添加すると、盲腸の細菌数が有意に減少した。また、WDにα-CDを添加すると、ClostridiumおよびTuricibacteriumが減少し、Dehalobacteriaceaeが有意に増加した。Family(科)レベルでは、Comamonadaceae科は有意に増し、 Peptostreptococcaceae科は低下傾向を示した。これらの細菌数の変化のいくつかは、アテローム性動脈硬化症の病変と負に相関し、盲腸重量の増加および血漿コレステロールレベルの低下と関連していた。以上のことから、アポEノックアウトマウスにおいて高脂肪食へのα-CDの添加は、アテローム性動脈硬化症を軽減し、それは腸内細菌叢の変化と関連することが示唆された。

参考論文

Dietary α-cyclodextrin reduces atherosclerosis and modifies gut flora in apolipoprotein E-deficient mice

Toshihiro Sakurai et al., Lipoprotein Metabolism Section, Cardio-Pulmonary Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA, Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Japan

Mol. Nutr. Food Res., 61, 8 (2017), (1-11) 1600804.

Current Impact Factor of 4.323 (2017 Journal Citation Reports)

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