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α-シクロデキストリンを摂取すると腸内細菌叢の環境を変えて、アテローム性動脈硬化症を軽減する。

2018.5.14

α-シクロデキストリン(α-CD)は、動物およびヒトにおいて血漿コレステロールを低下させることが知られているが、アテローム性動脈硬化症に対するその効果は知られていない。

アポEノックアウトマウスに、低脂肪食(LFD; 5.2%脂肪、w / w)またはウエスタン高脂肪食に添加なし(WD)、1.5% α-CDを含有(21.2% 脂肪)(WDA); 1.5% β-CD(WDB)を含有、または1.5% オリゴフルクトース強化イヌリン(WDI)を含有餌を11週投与したところ、大動脈アテローム性動脈硬化症病変は、WD(添加剤なし)と比較してWDマウス(α-CD含有)の方が65%少なく(P <0.05)、LFDと同様であった。他のWD補給食(β-CDまたはオリゴフルクトース強化イヌリン)ではアテローム性動脈硬化症に対する効果は認められなかった。一方、16S rRNAのRNA-seq分析により、WDにα-CDを添加すると、盲腸の細菌数が有意に減少した。また、WDにα-CDを添加すると、ClostridiumおよびTuricibacteriumが減少し、Dehalobacteriaceaeが有意に増加した。Family(科)レベルでは、Comamonadaceae科は有意に増し、 Peptostreptococcaceae科は低下傾向を示した。これらの細菌数の変化のいくつかは、アテローム性動脈硬化症の病変と負に相関し、盲腸重量の増加および血漿コレステロールレベルの低下と関連していた。以上のことから、アポEノックアウトマウスにおいて高脂肪食へのα-CDの添加は、アテローム性動脈硬化症を軽減し、それは腸内細菌叢の変化と関連することが示唆された。

参考論文

Dietary α-cyclodextrin reduces atherosclerosis and modifies gut flora in apolipoprotein E-deficient mice

Toshihiro Sakurai et al., Lipoprotein Metabolism Section, Cardio-Pulmonary Branch, National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA, Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Japan

Mol. Nutr. Food Res., 61, 8 (2017), (1-11) 1600804.

Current Impact Factor of 4.323 (2017 Journal Citation Reports)