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シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第3弾! 「レチノール(ビタミンA)の安定性の改善」

2019.10.29

シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第3弾!
「レチノール(ビタミンA)の安定性の改善」
 レチノールは、緑黄色野菜に含有されるβカロテンから体内で必要量だけ、レチノールに変換されるている成分です。体内で変換されるので食品としてはレチノールを摂取する必要はありませんが、化粧品分野では、レチノールは皮膚のしわや傷痕を減少させ表面を滑らかにするなど、老化防止に対して有効な成分です。
しかし、酸化に対して非常に不安定な成分であり、室温で簡単に分解することが化粧品への利用の妨げとなっている。レチノールを酢酸やパルミチン酸でエステル化して安定化させることで、一部商品化されているが、園エステル類の老化防止効果はレチノールの10分の1以下といわれています。また、リポソームでのマイクロカプセル化や抗酸化物質であるブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)などを併用する手法も提案されているが、その安定性において満足できるものとは言い難い。しかしγ-シクロデキストリン(CyD)を用いることで、レチノールはほぼ完全な安定化が実現されています。
今回はレチノールのシクロデキストリンによる安定性の改善効果(グラフ)について紹介したいと思います。
 レチノールをγCyD包接化クリームやリポソームマイクロカプセル化クリーム、BHA安定化クリームに配合し室温貯蔵しレチノール残存量を測定した結果室温貯蔵24週間後においてγCyD包接化クリームに配合したレチノールはほとんど減少していませんでした。(グラフ)
参考資料:シクロデキストリンの応用科学
不安定な機能性成分を安定化させたいと考えられている方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にてその成分に最適なCyDの選定試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はレチノールの安定性の改善ついて紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

レチノールの室温貯蔵による安定性.png

シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第2弾! 「αリポ酸の安定性の改善」

2019.10.29

シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第2弾!
「αリポ酸の安定性の改善」
 αリポ酸は、老化などに関与する活性酸素による酸化ストレスを減少させる抗酸化」物質としてサプリに最近用いられている物質です。αリポ酸は分子内にジスルフィド結合を有しているため熱、光などの物理的な影響や、空気(酸素)、水、薬理活性物質との共存などの化学的な影響によって重合体を生成しやすく、分解生成物として揮発性硫黄物質を発生する不安定な物質です。そこで、安定化のためにはこの物理的、化学的な影響を受けない条件で保存しなければならず、医薬用としては1回の投与量を遮光アンプルに封入して、冷暗所に保存する方法が採用されています。しかしながら、アンプルの製造や包装には費用がかかってしまいます。最近ではαリポ酸を含有するサプリメントが製造販売されておりαリポ酸の安定化にもシクロデキストリン(CyD)が寄与しています。
今回はαリポ酸のγ-CyDによる安定性の改善効果について紹介したいと思います。
 αリポ酸を各種CyD包接により安定化試験は遮光、温度70℃、湿度を飽和状態にした条件下でそれぞれαリポ酸を20%含有する各種CyD包接体を2時間放置した。その結果何れのCyDを用いてもαリポ酸の安定性は高まることが分かった。γCyD>βCyD>αCyDの順で、γCyDによってαリポ酸の安定性は最も向上した(グラフ1)
次にαリポ酸と各種食品素材との相性についての検討も行なった。αリポ酸はビタミンEなどの抗酸化物質存在下で分解してしまう。αリポ酸を5%含有する各種CyD包接体とαリポ酸含有と等量のビタミンEを混合し、遮光、室温下という温和な条件下で保存して、αリポ酸の安定性を検討した結果、αリポ酸γCyD包接体を用いた場合には、ビタミンE存在下であっても、αリポ酸の非常に高い安定性が得られていた。(グラフ2)
参考資料:シクロデキストリンの応用科学
不安定な機能性成分を安定化させたいと考えられている方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にてその成分に最適なCyDの選定試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はαリポ酸の安定性の改善ついて紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

αリポ酸CyD包接体の安定性.png

ビタミンEとの共存下におけるαリポ酸の安定性 (グラフ2).png

シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第1弾! 「コエンザイムQ10の安定性の改善」

2019.10.10

シクロデキストリン(CyD)の機能性素材、化粧品素材の安定化第1弾!
「コエンザイムQ10の安定性の改善」
 ビタミンQと呼ばれている補酵素Q10は強力な抗酸化作用があるため、最近では様々なサプリ使用されています。人体内で合成されます、しかしながらコエンザイムQ10の生合成能力は20歳前後から急激に低下してくるため健康維持などの目的で毎日摂取する人が増えています。
コエンザイムQ10は光や熱に非常に弱い物質であり、ビタミン類や他の抗酸化物質とともに配合することにより速やかに消失してしまう不安定な物質です。またコエンザイムQ10は不安定性とともに低吸収性の問題もあります。通常のサプリメントでコエンザイムQ10を摂取しても、その吸収率はきわめて低く水の溶解性が非常に低いためと考えられています。
今回はγ-CyD包接化による安定化の検討について紹介したいと思います。
 日光露光下での検討(グラフ1)や高温下での検討(グラフ2)
コエンザイムQ10のデンプン混合物、市販の水溶性コエンザイムQ10、γ-CyD包接体の安定性の比較をすると日光露光下で、デンプン混合液、及び水溶性コエンザイムQ10の場合ではコエンザイムQ10は5時間で急速に減少し、25時間後にはほとんどなくなっている。ところが、γ-CyDで包接したコエンザイムQ10は、25時間後でも50%の減少にとどまっている。(グラフ1)また、高温環境での劣化もまったくみられなかった。(グラフ2)またCyDは、ビタミン類と混ざっているコエンザイムQ10の安定性の改善にも効果があります。コエンザイムQ10の各種CyD包接体にビタミンCとビタミンEをそれぞれ配合し、40℃遮光条件下にて安定性評価を行なっています(グラフ3、グラフ4)。いずれの検討結果においても、γ-CyDを用いた包接体で90%の高い残存率を示しています。
この結果より、α-CyDでもβ-CyDでもなく、γ-CyDで包接させた場合でのみコエンザイムQ10の安定性が保たれていることが示されています。
参考資料:シクロデキストリンの応用科学
不安定な機能性成分を安定化させたいと考えられている方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にてその成分に最適なCyDの選定試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はコエンザイムQ10の安定性の改善ついて紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

日光露光下、45℃でのコエンザイムQ10.png

高温下(60℃)でのコエンザイムQ10.png

40℃、遮光下でビタミンCを配合した.png

40℃、遮光下でビタミンEを配合した.png

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第3弾! 「HP-β-CyDによる水難溶性物質の可溶化」

2019.10.3

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第3弾!
「HP-β-CyDによる水難溶性物質の可溶化」
 化粧品や医薬部外品には爽快感を求めるためメントールは必須な香料であります。しかしながらメントールは水難溶性なので配合するのが非常に難しいと考えられてきました。HP-β-CyDは含水エタノールにもよく溶けるのでメントールはHP-β-CyDとの包接複合体形成により水に溶けやすくなり配合可能な化粧品の範囲が大幅に広がりました。
今回はHP-β-CyDによるメントールの可溶化実験について紹介いたします。(グラフ)
β-CyDを用いた場合も溶解度は上昇しておりましたが、β-CyDの添加濃度が1w/vで頭打ちとなりました。しかしながらHP-β-CyDに関してはCyDの添加濃度依存的にメントールの溶解度が上昇しました。
このHP-β-CyDの特性及び前回紹介した特性を利用して低分子の界面活性剤や他の分散剤を使用せずに香料や有用成分を可溶化した化粧品や医薬部外品をつくることができるようになりました。またHP-β-CyDは少量の水の存在下で油性物質やコレステロール類と乳化させることにより安定な乳化物を得ることも出来ます。
化粧品分野で利用したい低分子成分などをお持ちの方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はHP-β-CyDによる水難溶性物質の可溶化について紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

HP-β-CyDによるメントールの可溶化.png