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ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第3弾! 「HP-β-CyDによる低分子物質の経皮吸収の抑制効果」

2019.9.26

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第3弾!
「HP-β-CyDによる低分子物質の経皮吸収の抑制効果」
 化粧品や医薬部外品には水難溶性物質や油溶性物質が配合される場合が多く、水系化粧品の場合これらの物質を均一に分散あるいは溶解させるために界面活性剤が用いられることがあります。
しかしながら、多くの界面活性剤は低分子であり皮膚から浸透性があるので皮膚トラブルの原因となる場合があります。一方で、CyDは比較的高分子であるため、皮膚からの浸透性はほとんどなく、疎水性の分子内空洞にこれらの物質を取り込んで包接複合体を形成して水溶性の分子カプセルを作ることが出来ます。包接複合体物質についても経皮膚吸収はほとんど起こらないので、皮膚トラブルの恐れがある低分子物質もCyDにより包接複合体の形で配合することで、化粧品や医薬部外品の安全性を高めることが出来ると期待されています。
化粧品用防腐剤の1種であるブチルパラベン(Butylparaben,p-安息香酸ブチル)のHO-β-CyDによる経皮吸収抑制効果について紹介いたします。(グラフ)
ブチルパラベンは他のパラベン類よりも防腐効果が高く、低濃度で使用可能なため化粧品分野では有用な添加物の1つと考えられているが水に対する溶解度が低いために使用は限定的となっています。グラフに示しているように、HP-β-CyDは包接物を形成させることで、ブチルパラベンの皮膚透過性を大幅に抑制することが出来ます。試験は.01%(w/v)のブチルパラベン溶液を比較の対照として、同濃度のブチルパラベン溶液に2.0%(w/v)になるようにHP-β-CyDを添加した溶液を用いて浸透量を測定。
HP-β-CyDを用いることで低分子物質の皮膚からの吸収を抑え皮膚トラブルの少ない化粧品を開発することができるのではないかと考えられます。安全性が高く皮膚にダメージがない化粧品は化粧品分野において重要なものであり、さらにCyDが化粧品分野に寄与できるような研究等も進めていきたいと思います。
化粧品分野で利用したい低分子成分などをお持ちの方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はHP-β-CyDの経皮吸収抑制効果について紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

HP-β-CyDによるブチルパラベンの経皮吸収抑制.png

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第2弾! 「ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンのフレグランス成分の安定化効果」

2019.9.17

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第2弾!
「ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンのフレグランス成分の安定化効果」
 以前のシクロデキストリン(CyD)の役割第1弾!「香気物質などの揮散しやすい成分の安定化」でも紹介を行ないましたが、化粧品においても香気成分(フレグランス)は主要な配合成分であり、その安定化は非常に重要なテーマでもあります。特に、テルペン類などの揮発性の強い香気成分の安定化は必要性が高いといわれております。
HP-β-CyDを配合したシトラス系フレグランスの36℃での香り持続効果(グラフ1)及び化粧品や医薬部外品の香料としてかなりの量が使用されているメントールとHP-β-CyD包接物溶液の60℃での安定化(徐放)効果(グラフ2)、オイゲノール(Eugenol)含有香料の光に対する安定化効果(表1)について紹介いたします。
HP-β-CyDを配合したシトラス系フレグランスの人の体温に近い36℃での香り持続効果について、無添加は1時間後には香りの残存量が50%と半分になっていたのに対してHP-β-CyDを配合したものは香り残存率として75%以上を示した。また無添加のものは時間経過とともに香り残存率は徐々に減少し3時間後には25%を下回っていた。しかしながら、HP-β-CyDを配合したものは時間経過とともに少量の残存率の減少は確認されたが、3時間後においても香りの残存率は75%以上であった。(グラフ1)
メントールとHP-β-CyD包接物溶液の60℃での安定化(徐放)効果についてメントールはコロンや腋臭防止スプレーなどの香気成分によく利用されており、グラフ2に示しているように90時間という長時間にわたって徐々に香気成分を放出した。(グラフ2)
オイゲノール(Eugenol)含有香料の光に対する安定化効果について、HP-β-CyDを添加することで濃度依存的にオイゲノール香料の褐変を防止した。(表1)
HP-β-CyDは香料成分の安定化効果を持っており長時間にわたって徐々に香気成分を放出することから、持続性の高いフレグランス製品を開発することができます。また、天然抽出香料や各種色素の褐変や退色防止あるいは生理活性物質の酸化や変質防止に効果があるといわれています。
化粧品分野の香料の分野においてもHP-β-CyDは多く利用されており、今後さらなる発展が期待できるかもしれません。化粧品への香料の添加に関して徐放化もしくは酸化や変色をしてしまう成分等をお持ちの方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はHP-β-CyDのフレグランスの安定化について紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

HP-β-CyDによるシトラス系香料の香り持続性.png

HP-β-CyDによるメントールの安定化.png

HP-β-CyDによるオイゲノール香料の褐変防止.png

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第1弾! 「ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンの保湿効果」

2019.9.12

ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の化粧品への応用第1弾!
「ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリンの保湿効果」
 一般にシクロデキストリン(CyD)は疎水性物質を分子内に取り込み包接化合物を形成することがよく知られています。代表的な化合物としてコレステロールなどのステロイド類、フラボノイドやタンニンなどの芳香族化合物、鎖状や環状の炭化水素類、脂肪酸類、さらには油類やアルコール類、一部のアミノ酸などはCyDと包接物を形成します。これらの化合物は化粧品分野においても重要な配合素材です。科学的に天然体(α、β、γ)CyDはおおむね水に対する溶解度が低く、化粧品でよく使用されるエタノールにはほとんど溶けない。特に包接物を形成するゲスト分子の数が他のα-CyDやγ-CyDに比べて圧倒的に多いβ-CyDの水への溶解度は2%以下であり化粧品や医薬部外品への応用には技術上の制約があった。β-CyD分子中の主にC2位をヒドロキシプロピル(HP)化したHP-β-CyDは水100 gに対して100 g以上溶解するばかりでなく、コロンなどに用いられる含水エタノール中でもかなりの高い溶解度を示し、化粧品素材として優れた特性を有するCyD誘導体といえます。
化粧品分野でCyD誘導体を利用する場合、包接能以外で最も重要な機能は保湿性と考えられます。
10%(w/v)に調整した各保湿剤を25℃の室温に48時間放置した後の水分保持力を水と比較したデータを紹介いたします。
HP-β-CyD、グリセリン、1,3-ブチレングリコールと水との比較を行なっております。その結果HP-β-CyDは一般に保湿成分として化粧品に用いられているグリセリンよりも高い保湿性を有していることが報告されています。この特性を活かし、人の皮膚に塗布されたときに揮発する水分を補足保持し潤いを与えることができますが、グリセリンは安価な物質なので、保湿機能だけを利用したHP-β-CyDの化粧品への利用は今のところ行なわれていません。しかしながらHP-β-CyDは高い溶解性と包接機能を有していますのでその機能を利用したくさんの化粧品が開発されています。
化粧品分野にもCyDが多く利用されており、今後さらなる発展が期待できるかもしれません。化粧品に添加したい成分等をお持ちの方は下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回はCyDの化粧品への応用について紹介させていただきました。引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

HP-β-CyDの保湿性.png

シクロデキストリン(CyD)の役割第7弾! 「食品中の不要成分の除去、低減化」

2019.9.10

シクロデキストリン(CyD)の役割第7弾!
「食品中の不要成分の除去、低減化」
最近は食生活に気をつけている方が多く、高脂血症あるいは肥満気味の方は高コレステロール食品である卵や乳製品の摂取量を制限している場合が多い。
欧州ではコレステロールを低減化した乳脂を用いて低コレステロールバターが大量に生産されています。
またアメリカにおいては、β-CyDを用いて卵黄からコレステロールを低減化した低コレステロール全卵が工業生産されたこともあります。
日本においても、卵黄からのコレステロールを低減化が試みられ、出汁まき卵や茶碗蒸しなどに加工されたことがあります。卵黄中にはβ-CyDと包接物を形成しにくいエステル化コレステロールが約20%含まれているため、コレステロール類を完全に除去することは不可能であるが、含まれる量の80%程度までは除去可能である。(グラフ)
β-CyDを利用した低コレステロール全卵は、加工時の卵黄の変性防止用として添加する食塩が完全に除去できないことやビタミン類などの低分子物質が同時に除去されるなどから栄養学的に未処理卵と同一物ではない。
今後はコレステロールのみを除去できるような改良等も必要と考えられる。
お菓子作りにCyDを利用してみたい方や、食品中の不要な成分を除去、低減したい方は、下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回は2弾連続の紹介となりました、引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

シクロデキストリン(CyD)の役割第6弾! 「乳化性や起泡性の改善」

2019.9.10

シクロデキストリン(CyD)の役割第6弾!
「乳化性や起泡性の改善」
油性成分とシクロデキストリン(CyD)を水存在下で強く攪拌すると乳化状態になることはよく知られており、この作用を利用して各種ドレッシング類が開発されています。
また卵白中に少量のβ-CyDを添加して強く攪拌することで卵白の起泡性を大幅に向上させることができ、ケーキなどのお菓子類の製造に利用されています。
今回はあと一つCyDの役割について紹介したいと思います。
シクロデキストリン(CyD)の役割第7弾!
「食品中の不要成分の除去、低減化」
最近は食生活に気をつけている方が多く、高脂血症あるいは肥満気味の方は高コレステロール食品である卵や乳製品の摂取量を制限している場合が多い。
欧州ではコレステロールを低減化した乳脂を用いて低コレステロールバターが大量に生産されています。
またアメリカにおいては、β-CyDを用いて卵黄からコレステロールを低減化した低コレステロール全卵が工業生産されたこともあります。
日本においても、卵黄からのコレステロールを低減化が試みられ、出汁まき卵や茶碗蒸しなどに加工されたことがあります。卵黄中にはβ-CyDと包接物を形成しにくいエステル化コレステロールが約20%含まれているため、コレステロール類を完全に除去することは不可能であるが、含まれる量の80%程度までは除去可能である。(グラフ)
β-CyDを利用した低コレステロール全卵は、加工時の卵黄の変性防止用として添加する食塩が完全に除去できないことやビタミン類などの低分子物質が同時に除去されるなどから栄養学的に未処理卵と同一物ではない。
今後はコレステロールのみを除去できるような改良等も必要と考えられる。
お菓子作りにCyDを利用してみたい方や、食品中の不要な成分を除去、低減したい方は、下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
今回は2弾連続の紹介となりました、引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

β-CyDによる卵黄からのコレステロールの除去.png

シクロデキストリン(CyD)の役割第5弾! 「水難溶性物質の可溶化や結晶析出の抑制」

2019.9.5

シクロデキストリン(CyD)の役割第5弾!
「水難溶性物質の可溶化や結晶析出の抑制」
柑橘類にはナリンギンやリモニンなどの苦味物質が含まれています。これらは柑橘缶詰やジュースの味を決める重要な成分であるが、結晶性が高く、製品中で結晶化して「白ボケ」とうい現象を生じる場合があります。一般的の消費者は「白ボケ」を異物混入あるいはカビが発生していると誤認してしまう場合などがあります。
また、紅茶に含まれるタンニン類は酸性低温条件下で結晶化して白濁するミルクダウンもしくはクリームダウンと呼ばれる現象が起きることが知られています。一般に、レモンティーのpHは4以下の弱酸性であり、夏季には冷却されて飲用される場合が多く、飲料の容器もPETボトルへのシフトもあり、商品の見た目を損なうことからミルクダウンは解決するべき問題であると考えられます。
今回は柑橘の成分であるナリンギンがCyDを添加することで溶解度を上昇させ水難溶性物質の可溶化及びタンニン類の結晶化抑制効果について紹介いたします。
α-CyD、β-CyD、γ-CyDによる可溶化試験に関しまして(グラフ1)
ナリンギンはβ-CyDあるいはγ-CyDと包接することにより水に対する溶解度が上昇した。
CyDによる紅茶のミルクダウン防止効果に関しまして(グラフ2)
検討は茶葉重量に対して180倍量の水を加え、90~95℃で10分間抽出した後、茶葉をろ別して得た抽出液のpHをクエン酸でpH3.5に調整し、得られる紅茶液量に対して0.7%(w/v)の各CyDを添加し、8℃で保存して生成する沈殿(濁度)を720 nmで測定を行なった。
ミルクダウン現象は、紅茶中に少量のβ-CyDを添加することで大幅に改善された。
参考資料:ナノマテリアルシクロデキストリン
ミルクダウン現象は、紅茶中に砂糖などの糖質の添加量を増やすことである程度は改善できることは知られていたが、近年の消費者の糖質離れから甘味料以外のミルクダウン防止方法が開発されたことは非常に有意義なことであると考えられます。
この技術はレモンティーだけでなく紅茶ベースの果汁飲料や紅茶風味のアルコール飲料などにも応用されています。
水に溶けにくいために食品などに加工しにくい成分や結晶析出してしまう成分などをお持ちの方は、下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

各CyDによるナリンギンの可溶化.png

各CyDによる紅茶ミルクダウンの防止.png

シクロデキストリン(CyD)の役割第4弾! 「苦味、渋みなどの呈味性改善(マスキング)」

2019.9.3

シクロデキストリン(CyD)の役割第4弾!
「苦味、渋みなどの呈味性改善(マスキング)」
苦味は味覚の一つで適度な苦味が飲料や食品を美味しくする要因となっていますが、あまりにも苦すぎるのは食品としては食べにくく問題であります。近年の健康ブームにより健康増進あるいは体調維持に有用であるが、同時に苦味や渋みを有する成分が多く有用成分を高濃度で配合すると、苦味や渋みが強くなるため苦みや渋みを抑制する技術が求められています。各種シクロデキストリン(CyD)はこれらの有用成分を包接して呈味性を改善する場合が多く、緑茶に含有しているカテキン類を配合した渋みを抑制した飲料はCyDによる渋み抑制の使用例として代表的であります。

今回は苦味や渋みを有する食品成分としてウコン(秋ウコン)、キョウオウ(春ウコン)、高麗人参、紫ウコンガジュツ(紫ウコン)、イチョウ葉、霊芝のエキス及び緑茶ポリフェノールを例としてCyDによる呈味抑制効果について紹介いたします。
各CyD添加量はサンプルの液量に対して霊芝の場合が0.9%(w/v)、緑茶ポリフェノール(ポリフェノール含量:25%)の場合を1.0%、その他は0.8%とし官能検査法によりデキストリンと比較した場合の相対的な苦味や渋みの度合いで示した。
表に示しているように、いずれの場合もβ-CyDがこれらの食品成分の呈味を最も抑制し、α-CyDにが呈味抑制効果はほとんどなかった。
参考資料:ナノマテリアルシクロデキストリン
ここでは示していませんが、ブドウ種子やオリーブ種子中のポリフェノール類やニガウリエキスなどの苦味や渋みもβ-CyDを用いることで抑制できるとうい報告も存在しています。
このCyDによる呈味改善効果は高カテキン飲料だけではなく、各種野菜ジュース、乳性飲料、豆乳、各種健康飲食品などにも応用されています。特殊な使い方としてドレッシングにCyDを添加することで野菜のエグ味や辛味が抑制され、野菜サラダをおいしく食べることができることも知られています。
健康の維持に有用な成分であるが苦味や渋みが強い成分を高濃度で食品等に応用させたい方は、下記の問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい!!弊社にて検討試験を実施いたします。
http://www.cyding.jp/
引き続きシクロデキストリン(CyD)の役割について紹介したいと思います!

各種CyDによる苦味の抑制.png