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ニーマン・ピック病 C 型の薬を探せ:in vivo スクリーニングに適したゼブラフィッシュモデル

2018.9.24

ニーマン・ピック病 C (NPC) は、細胞のライソソームにコレステロールが蓄積し、神経症状や肝脾腫等を引き起こす難病である。近年、2-ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン(HP-β-CyD)が、NPC の各種症状を緩和する報告が次々と発表されており、米国では臨床試験も実施されている。しかし、さらなる医薬品候補化合物の探索は、依然として必要である。最近 Tseng らは、CRISPR/Cas9 システムを用いて、npc1-null 突然変異を有するゼブラフィッシュの作製に成功した。本モデルは NPC の症状をよく反映しており、NPC 治療薬の候補化合物を in vivo スクリーニングする際の強力な手段になるであろう。

 

参考論文

Modeling Niemann-Pick disease type C1 in zebrafish: a robust platform for in vivo screening of candidate therapeutic compounds.

Wei-Chia Tseng et al.

National Institutes of Health, Department of Health and Human Services, Bethesda, USA.

Dis Model Mech. 11. dmm034165 (2018).

スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンは、抗炎症活性のための粘膜付着型製剤として利用できる

2018.9.21

カラギーナン誘発性ウサギモデルに対するアムロジピンの抗炎症作用及びスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンの角膜浸透の影響を試験するために粘膜付着型眼球フィルムが調製された。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)眼球フィルムは、アムロジピンとβ-シクロデキストリン(BCD)、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(HPCD)、及びスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン(SBCD)の複合体を形成したものを調整した。シクロデキストリンを含まないフィルムは、最大の膨潤および浸食を最大限に示した。薬物放出及び浸透の両方が高度に拡散制御されており、シクロデキストリンを含むまたは含まない他の製剤と比較して、溶解の増加に起因しておりSBCDで最高の改善が観察された。最も高い結合エネルギーおよび非晶質化の最大程度がSBCDフィルム製剤において確認された。インビトロにおけるアムロジピンの放出改善と眼透過性は、シクロデキストリン複合体のHPMCフィルム製剤によって確認され、SBCDが両方において最も優れていた。二成分系および三成分系の分子ドッキング試験では、アムロジピンとBCDとの結合エネルギーが、HBCDやSBCDと比較して最も低かった。急性炎症の徴候は、盲嚢のフィルム適用の2時間以内に緩和された。アムロジピン-HPMCフィルムにおけるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンの存在は、眼の透過を有意に改善することができ、抗炎症活性のための粘膜付着型製剤として利用することができる。
参考論文
Drug-in-mucoadhesive type film for ocular anti-inflammatory potential of amlodipine: Effect of sulphobutyl-ether-beta-cyclodextrin on permeation and molecular docking characterization

Nanda A1, Sahoo RN1, Pramanik A1, Mohapatra R1, Pradhan SK2, Thirumurugan A3, Das D1, Mallick S4.
1 Department of Pharmaceutics, School of Pharmaceutical Sciences, Siksha O Anusandhan, (Deemed to be University), Bhubaneswar, Odisha, India.
2 Department of Bioinformatics, Orissa University of Agriculture and Technology, Bhubaneswar, Odisha, India.
3 Institute of Physics, Bhubaneswar, Odisha, India.
4 Department of Pharmaceutics, School of Pharmaceutical Sciences, Siksha O Anusandhan, (Deemed to be University), Bhubaneswar, Odisha, India.

Colloids Surf B Biointerfaces. 2018 Sep
Current Impact Factor of 3.997

シクロデキストリナーゼ

2018.9.14

シクロデキストリン合成酵素は、デンプンを分解・環化することによりシクロデキストリンを生成する、微生物から産生される酵素である。また、デンプンを十分に分解するため、ある微生物はオリゴ糖のα-1,4結合を分解するシクロデキストリナーゼを合成することができる。本研究では、Massilia timonae 由来のシクロデキストリナーゼをクローニングし、大腸菌に発現させることで、組替え型シクロデキストリナーゼを作製し、精製および特性を確認した。本シクロデキストリナーゼは、4量体を形成し(分子量:260kDa)、40℃、pH7.0の至適条件で存在する。また、45℃30分のインキュベーション後も安定であった。さらに、本酵素は、β-シクロデキストリンやマルトヘプタロースなどを加水分解し、グルコースやマルトースを産生した。なお、マルトデキストリンやデンプンよりもβ-シクロデキストリンに対して高い活性を示した。以上のように本研究により作製したシクロデキストリナーゼは、デンプンなどに対する新規加水分解酵素としての応用が期待される。

 

参考文献

This novel cyclodextrinase could be a promising alternative for the enzymatic hydrolysis of starch.

F. C. D. Santos, I. P.Barbosa-Tessmann.

Universidade Estadual de Maringá, Department of Biochemistry, Av. Colombo, 5790, 87020-900, Maringá, PR, Brazil.

Protein. Expr. Purif., doi: 10.1016/j.pep.2018.08.013.

Current Impact Factor of 1.338 (2017 Journal Citation Reports)